社長の戯言 ~最強の新人伝説~
僕が責任者に上がった頃、ペロネっていう日本とフランスのハーフの新人が入ってきたんですね。
こいつがまた死ぬほど金持ちの家の息子で、親は貿易会社の社長。親のカードで勝手にベンツ買って怒られたとか言ってるちょっとイカれた奴で、ミッキーみたいに語尾に「ハハッ」って笑いをつける変な奴でした。
もはやなんでコールセンターに社員として入ってきたか謎ですが、彼がまた日本語は喋れるんですが、あんまり相手の言ってることを理解できないのか理解しようとしてないのか、全然人の話を聞かない奴なんです。
心配しながらも研修を終え、いざ架電となった時に、僕は「とにかく最初は代電でいいから、何か質問されたりしたら電話代わってな!」と伝えて架電を始めたんですね。
何コール目かで電話がつながって、すごく楽しそうにお客様と「こんにちわ、ペロネです!ハハッ!」って言いながら会話をしてるわけですが、ちょっと話し込んだ後にペロネが「ユアサさーん、電話代わってクダサイ!この人めちゃめちゃ質問してきます!アツイです!ハハッ!」って笑いながら言ってくるわけです。
「おー、マジか!おけ!電話代わるよ!」って言って、ナイス代電じゃん!と思いながら電話に変わったんですね。
「突然すいませんー!お電話代わりました私上司の湯浅と言いますー!」
「おい!さっきの奴いったい何だ!!いたずら電話か!?わけわからない名前だし、会社名聞いても「どうも、ペロネです」としか言わないし、住所どこだ?どこから電話してんだ?って聞いても笑ってるだけで何にも答えやしない!お宅一体どういう指導してんだ!?」
「…大変申し訳ありません。先ほどの担当は新人でして、私の指導不足でございまして、、、」
…ペロネ、確かにお客様めっちゃ質問してるし、アツくなってるよ、でもな、これクレームなんよ。
1週間後にはペロネは退社してました。
さて、本線はようやくコールセンターの入社までたどり着きました。
最初は7日間の研修をみっちり受け、いざ電話営業スタート。
16人の同期と共にフレッツ光の営業をしていましたが、最初にかけていたのはシルバーリストというもの。
これね、シルバーって高齢のシルバーなんよ。
過去に架電されて、高齢者NGで終話している案件に、半年後とかに再度電話して、「インターネット始めませんか?」って営業してね、というものだったんですが、これがもう地獄なんです。
理由は下記の通り
■おじいちゃんおばあちゃん在宅率高いからめっちゃ電話に出るし、暇だからすごく長話になって8時間ずっと喋りっぱなし
■半数はもはや会話が通じない
■フレッツ光のご案内ですー!に、9割の確率で「フレッシュヒカリ?」と言われる
■インターネットに興味がないどころかなにかもよくわからない
っていう感じで、もはやどうやってネットを始めてもらうんだ?と思いながら毎日頑張ってお電話していました。
一番ひどかったのは、推定100歳くらいのおばあちゃんが電話にでて、「もしもし、妙子か?」「いいえ、違いますよー!フレッツ光の営業です!」「妙子や、買い物は終わったんか?」「いや、妙子じゃないですー!フレッツ光の営業ですー!必要なかったらすいませんでしたー!」「妙子、どれくらいで帰ってくるんかいな?」「湯浅ですー!妙子ではないですー!男ですー!」「ん?はて、どうしたもんかなぁ」と何にも通じないままそのまま受話器を置き、多分おばあちゃんは電話に出たことも忘れてそのままお皿洗いをしていました。
おばあちゃん、全く聞こえないならもはや電話とっちゃダメだよ、、
とにかく新人はシルバーリストをかけ、そこで月10件以上獲得できたツワモノだけがいいリストに架電できるというルールで、おじいちゃんおばあちゃんとの会話に耐え切れず、1か月後には16人の同期は4人になってました。
もう一回言うよ、みんな、今の環境恵まれてるぞ、、