顧客ファーストの弊害

よく「お客様第一」を掲げているお店、企業があります。

しかし、正直この「顧客ファースト」という理念、本当に必要でしょうか?

今回は顧客ファーストがもたらす弊害についてお話ししたいと思います。

 

お客様は神様じゃない

お客様は神様という言葉を聞いたことがあると思います。

まず、この意味を間違えて覚えている人がいるのですが、これは決して「お客様は神様だから、お客様の言うことがすべて」というような話ではありません。「お客様を神様と思って接するくらい、お客様が満足してもらうことに全力を尽くす」という意味です。

お客様と従業員、企業は対等の立場であるべきです。どちらが上だとか、どちらが偉いとかはなく、サービスを提供する側と提供される側、あくまでもただそれだけの関係値です。

 

勿論、企業や従業員は、顧客により満足してもらうため、サービスの質を上げたり、顧客対応のスキルを向上させる必要があります。

でも、それは「顧客満足=企業の成長」だからであり、間違っても「お客様のために身を粉にする」とか「利益度外視でサービスに徹する」ためではありません。

 

従業員第一は正しいのか

そうすると、じゃあ経営者は何を第一優先に考えて行動すべきか?という話になりますが、顧客ファーストでなければ従業員ファーストかと思われがちですが、そういうわけでもありません。

前述の通り、そもそも企業と顧客に優劣はなく、根本的に誰を一番に考えるか、という概念はないと考えています。

違う表現をすると、役職と状況によって、優先順位は変わってくるとも言えます。

 

例えば、経営者は顧客に満足してもらえるサービスの開発、提供をするのは勿論ですが、実際にお客様と対面したり、やり取りをする機会はほぼありません。会社規模によっては経営者が自ら顧客にアプローチする場合もありますが、平均的には間違いなく従業員よりも少ないのは事実です。

顧客とのやり取りが少ない経営者にとっては、いかに従業員がやりがい、向上心をもって仕事ができるかという部分のほうがより重要であり、従業員第一とまではいわないものの、従業員のことを考えて行動する機会が多くなります。

そうやって従業員が仕事にやりがい、使命感、向上心をもって向き合うことで、お客様とのやり取りについても「よりお客様のことを考えた行動ができる」ようになります。

考えてみてください。従業員が仕事に不満があり、大きなストレスを抱え、目的意識もない状態で、お客様に満足してもらえるサービス提供ができますか?そんな「自分を犠牲にしてでも誰かに尽くす」というような人は基本いません。

お客様に満足してもらうためにも、従業員が高い意欲を持って仕事をする必要があるのです。

 

顧客ファーストの弊害

実際、顧客ファーストを謳うことで、どのような弊害が起きるのでしょうか?

まずは先ほど挙げた通り、従業員満足度を後回しにすることでサービスの質が低下します。勿論離職も起きるでしょう。

また、顧客ファースト思考からよく生まれるのが「価格競争」です。とにかく他社よりも1円でも安くしてお客様に買ってもらう。この価格競争は、一部の企業が市場を独占しないようにするためにはある程度必要なものなのですが、多くの企業間で次々と価格競争が起きてしまうと、コストを削ることになり、サービスの質が落ち、従業員が疲弊し、さらにサービスの質が落ちたり、新たな人員の採用費で結局コストが余計にかかってしまう、という悪循環を起こします。

企業はただ安く提供することを考えるのではなく、サービスの価値に見合った価格で提供する、むしろ、そもそものサービスの価値を高めることが大切です。

 

【まとめ】

今回は顧客ファーストの弊害についてお話しました。

勿論お客様満足度を向上させるためにあの手この手を尽くすことは必要ですが、誰が優先とか、優越を付けるのではなく、従業員もお客様もより満足できる環境、価値を提供していくことが大切です。

特に経営者の方は参考にしていただけると幸いです。